政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 家に来るのは初めてで、美香は興味津々で部屋の中をキョロキョロと見回す。

「マンションもだけど、部屋の中もすごいね。さすがはサイレンジの後継者が住む家って感じ」

 感心しながら言う美香に笑いながらも、珈琲を出そうと準備するも、やっぱり匂いがだめで気持ち悪くなる。
 口元を手で覆うと、気づいた美香が慌ててキッチンに駆け込んできた。

「もう体調悪い人が無理をしなくてもいいから。なにもいらないから大丈夫。ほら、戻ろう」

「ごめん」

 美香に支えられてリビングに戻り、ソファに並んで座る。背中を擦ってもらい、少し落ち着いてきた。

「ありがとう、美香。それとごめんね、せっかくの休みの日に来てくれて」

「なに言ってるの? 親友として当然でしょ?」

 昨夜、久しぶりに美香から連絡が入った。弦さんとはその後、どうなったのかと。
 彼女のその言葉に私はすべて話した。弦さんが私と両親の関係を知っていたこと、そしてずっと体調が悪いことも。

「そうだ、吐き気が収まらないっていうから、ゼリーやプリンを買ってきたの。冷蔵庫に入れておくね」

「うん、ありがとう」

 買ってきたものを冷蔵庫にしまうと、美香は私に寄り添うように腰を下ろした。

「それで本当なの? 弦さんが未来の家庭の事情を知っていたっていうのは」

「……うん。はっきりと聞いたもの」
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