同期の御曹司様は浮気がお嫌い

「ありがとう……優磨くんのだよ」

私はパンの袋を渡した。優磨くんの手が触れないように袋の下を持ちながら。受け取る優磨くんは複雑な顔をする。

「俺子供のころから慶太さんの店でこれが一番好きなんだ。夕方行くとたまに揚げたてのコロッケになってて」

優磨くんは無邪気にコロッケパンを頬張る。

「ちゃんとご飯食べてるようで安心した」

横顔を見る限りすっかり元通りの健康な状態に戻っている。

「波瑠にちゃんとご飯食べてって言われたからね。毎日三食きちんと食べてるよ。でも、波瑠のご飯が恋しい」

私に向けて色っぽい顔をする。それに慌てて目を逸らす。

「彼氏にもご飯作ってるの?」

「う、うん……」

優磨くんはずっとこの設定に食いついてくる。

「彼氏何が好きなの?」

「ハンバーグとかのお肉系かな……でも野菜料理も何でも食べる」

「へー」

「味付けに失敗しても怒らないし、何作っても美味しいって言ってくれる……」

「優しいんだ」

「うん……家事もね、苦手なのに手伝ってくれるし、些細なことも褒めてくれる。何でも好きなの買っていいよって甘やかしてくれるの」

「そいつのこと大好きなんだ?」

「そうだね……大好きかな……」

私を大事にしてくれる彼が愛しくて堪らない。

「そいつと将来を考えてる?」

「ずっと一緒に居られたらって思ったこともあったけど、いつかだめになるのが怖くて素直になれない……」

「波瑠を不安にさせるなんてバカだなそいつ……」

優磨くんは何かを堪えるようにまた唇を噛んだ。

「あのさ、もうすぐクリスマスじゃん?」

「そうだね」

「波瑠は、その……予定とかって……」

口ごもる優磨くんが言わんとしていることが分かったから「彼氏と過ごすの」と淡々と答えた。

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