翠玉の監察医 消されるSOS
男性は完全に伸びてしまった。蘭がホッと息を吐いたその刹那、危険を本能が察知する。

「よくも……よくも私の彼を……!!」

真希が包丁を手に走ってきた。しかし、包丁は蘭に向けられているわけではない。気を失ってしまっている空に向けられていた。

「こいつが生まれてくるから私は不幸になったんだ!!」

「ッ!」

蘭は慌てて真希を止めようとする。しかし、蘭よりも先に真希の手を窓から飛び込むように入ってきた圭介が掴んでいた。

「危なかった……」

汗をかきながら圭介が言い、真希は「放せ!あいつを殺してやる!!」と息を荒くして言う。危険だと判断した蘭は真希に近づいて手刀を首に食らわせた。真希は意識を失って倒れる。

「深森さん、来ていただいてありがとうございます」

蘭はお礼を言い、空の応急処置を始める。圭介は「間に合って本当によかったです」と言いながら応急処置を手伝う。

遠くからサイレンの音が聞こえてくる。それは、空にとっての地獄の日々がようやく終わるのだと知らせる合図のようだった。
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