翠玉の監察医 消されるSOS



空の虐待事件が解決して、数日が経った。空の母親と愛人関係だった男性は逮捕され、空は児童養護施設で暮らすことになったのだ。

「お姉さん!お兄さん!」

仕事が休みの日、空の様子を見に蘭と圭介は児童養護施設を訪ねると、元気よく笑いながら空が駆けてくる。

「空くん!久しぶり〜!!」

無邪気に笑う空を圭介は抱き上げ、くるくると回る。空は楽しそうに笑い、その様子を見ていた他の子どもたちが「僕にもして〜!!」と圭介の周りに集まってきた。

「子どもに好かれる性格なんですね」

蘭が微笑むと、「まあ、子ども好きですし」と圭介は照れたように顔を赤く染める。そして空や子どもたちと遊び始めた。

「お姉さん、お兄さん、僕ね、お手紙書いたよ」

たくさん遊んだ後、空が蘭と圭介に手紙を渡す。白いシンプルな便箋に書かれたものだ。

「ありがとうございます。大切にします」

人から貰った初めての手紙に、蘭は胸が温かくなるのを感じた。圭介もお礼を言い、空を抱き締める。

「空くん、里親がすぐ見つかったみたいですし良かったですね」

「はい。幸せになってほしいです」

帰り道、蘭は空のくれた手紙の封を開ける。そして幼い子どもが一生懸命書いてくれた手紙を読んだ。


「おねえさん、たすけてくれてありがとう。おとなになったらぼくは、けいさつかんになっておねえさんをこんどはたすける。おねえさんのこと、だいすき」


温かいその手紙に、蘭は泣きそうになってしまう。その様子を圭介は隣で愛おしげに見守っていた。
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