トラップ教室
脱出~夏海サイド~
「先生はもう……死んでる?」


あたしの呟きに響は頷いた。


「そうかもしれない」


あたしは胸まで上がってきた水に視線を向けた。


綺麗だった水は優香と秀の血をにじませている。


あの濁流に佐竹が飲み込まれた後、行方不明になったと聞いていた。


まさかという気持ちはどこかにあった。


でも、人間があんなにあっけなく死んでしまうとも思えなかった。


先生はきっとどこかで生きている。


下流にたどり着いて、入院しているに違いない。


そんな風に思い込もうとしていた。


「この空間を先生が作り出したのだとしたら、誕生日は……」


響がビニールに浮かび上がった文字へ視線を戻す。


文字の半分は水に浸かり、読み取れなくなってしまっている。

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