リアル彼氏
マリナに聞かれてあたしは「えっ」と口ごもってしまった。


「なによ。それからどうなったのは聞かせてよ」


マリナは目を輝かせている。


しまった。


昨日は青年との出会いまでしかプレイしていないのだ。


その後なにがあったのかなんて、わからない。


「え、えっと……」


途端にしどろもどろになり、マリナから視線を外すあたし。


そんなあたしを見てマリナは眉間にシワを寄せた。


「まさか、それだけ?」


聞かれて、思わず頷いてしまった。


「なによ、期待して損した!」


マリナはふくれっ面になっている。


「で、でも! これからまたなにかあるかもしれないし」


慌ててそう言うあたしに、マリナは手鏡を取り出してリップを塗り始めてしまった。


「この広い県内で、連絡先も聞かなかったんだよね? それじゃ無理だよ」


冷めた口調で言うマリナ。
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