リアル彼氏
「こっちのショートパンツの方が絶対にいいって!」


そう言ってデニムのパンツを自分の体に当てている。


マリナは美人な上にスタイルがいいから、なんでも似合うだろう。


でもあたしは違う。


足なんて細くないし、長くもない。


そんなこと、誰でも見ればわかると思う。


だから、マリナは自分にショートパンツを当てて自慢しているようにしか見えなかった。


「あたしはこれでいいよ」


あたしが選んだワンピースはひざ丈で、太ももはスッポリと隠すことができる。


「いいから、ちょっと試着してみなよ!」


ワンピースを手にレジへ向かおうとしたあたしの手をマリナが掴んで引きとめた。


「ちょっとマリナ!」


文句を言っても離してもらえず、そのまま試着室へと移動していく。


「はいこれ。着たら教えてね」


マリナは強引にショートパンツを手渡すと、さっさと商品棚へと戻って行ってしまった。


声をかける暇もない。
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