リアル彼氏
アニマル柄のトップスやパンツがズラリと並ぶ中、あたしは地味な灰色のワンピースを手に取った。


このお店には相応しくないくらい地味だけれど、あたしにとってはこれが普通だった。


胸元に赤いリボンがあしらわれているし、着てみれば可愛いかもしれない。


値段も手ごろで、安堵する。


これなら買えるし、デートじゃなくても着ることができる。


「ちょっと、そんな地味な服にするの!?」


横からマリナが驚いた声をあげた。


あたしはビクリとして顔を向ける。


マリナは呆れた表情だ。


「リボンがついてて可愛いじゃん」


必死に言うが、マリナは納得してくれない。


「だからダメなんだよ美弥は」


はぁ~と、わざとらしく大きなため息が吐き出された。


その態度にムッとするが、どうにか笑顔を崩さなかった。
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