リアル彼氏
1年前
あたしが貴也を好きになったのはちょうど1年前のことだった。


1年生の体育徐授業中。


その日は男女が同じ体育館で授業を受けていた。


男子はバスケットで、女子はバドミントンだった。


あたしはマリナと2人でラケットを持って移動しようとした時だった。


突然体育館内に黄色い悲鳴が響き渡ったのだ。


あたしとマリナは何事かと立ち止まり、視線を向けた。


数人の女子たちが固まって男子のバスケを観戦している。


その視線の先を追いかけると、貴也の姿があったのだ。


「バスケうまいよねぇ」


マリナが関心したような声で言う。


確かに、仲間にパスを回しながらコート内を走る貴也はバスケが上手だった。


そしてなによりカッコ良かった。


額に光る汗、真剣な表情、仲間にかける声。


そのどれもにあたしは魅了されてしまった。


「美弥、行くよ?」


「う、うん」


マリナに促されて、あたしはぼーっとしながらその後をついて歩いたのだった。
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