エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「前回会った時にはまだハイハイも出来なかったのに、子供の成長は早いわね。赤ちゃんの時期ってあっという間に過ぎてしまう」

「確かに可愛い。可愛いけどなぁ…孫、なんだよなぁ。俺、ジィさんだと思うと、萎えるよ。気持ちも年齢もまだまだ若いのに。
涼音には、絶対『ヒロくん』って呼ばせるんだ。
な、涼音。『ヒロくん』だぞ。ジィジはそっちな」

広宗はしゃがんで涼音と目線を合わせ、父を指差す。涼音はもちろん意味がわからないが、広宗の指が気に入ったのか小さな手でその指をぎゅっと掴んだ。

「お、ゆびきりげんまんか⁈可愛いじゃないか」

「どれ、涼音、ジィジが抱っこしてやろう。ママがよく見えるぞ。ママのピアノは最高だなぁ。涼音は毎日聴けて羨ましいよ」

涼音を真ん中にしてはしゃぐ男二人に、恵は思わず苦笑いだ。

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