エチュード〜さよなら、青い鳥〜
涼の邪魔になりたくないと思っている初音の気持ちもわかる。
だが、そうこうしているうちにも、子供はどんどん成長していく。後から“成長を見たかった”と言われても、もう取り戻せない貴重な時間だ。


ーー初音。涼くんに、涼音のことを知らせよう。それで涼くんが受け入れないなら、そこでスッパリ終わりにしましょう。父親になりたいと言うなら、新しい関係を作ればいい。彼にだって知る権利はあると思うの。
初音、傷つくことを恐れないで?初音には涼音がいるし、ピアノもある。だから、何があっても大丈夫。


涼音を預かって欲しいと依頼された時に、母親として初音に言った言葉を思い出す。その時初音は何も答えなかったが、きっと考えているはずだ。


幸せそうにピアノを弾く娘の姿。願わくば、女性としても愛される幸せを手に入れて欲しいと、思うのだった。




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