エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「そんなこと言われても…」


驚天動地とはまさに今のこと。涼の頭は驚きで混乱してまともに働かない。



しばらく、お互い無言の状態になる。



「…ハツネ、彼にスズネを抱っこしてもらったら?」

二人の会話は日本語なので、理解できない。だが膠着状態の二人に、クラウゼ教授が英語で提案した。

「抱っこ?こんな小さな子供を抱っこなんてしたことがない。無理です」

英語で答えつつ、顔の前で手を横に振る涼。

初音は、腕の中の涼音を見た。大人の事情など知るよしもない涼音は、初音に抱っこされてご機嫌だ。目を合わせてくれた初音にニッコリと笑いかけてくれる。

「涼、手を出して」
「え、いや、無理だよ!」

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