独占欲全開の超イケメン俳優と秘密の同居生活始めます!
そう言って、また俺の髪に触れ、そして…優しく指で撫でた。


『健さんを嫌いになることなんて…絶対に無い。それは…本当に無いから。でも、今は…一対一の人間として、共に頑張っていきたい』


『…ああ、わかってる。わかってる…つもりだよ』


うなづきながら言ったその顔には、切なく哀しげな笑顔が浮かんでいた。


それを見たら…


俺は、胸が締め付けられる思いがした。


『来てくれて、嬉しかったよ。気をつけてね』


帰り際、健さんは手を上げてニコッと笑ってくれた。


『ああ、ありがとう。また、明日』


『明日ね』


俺は、健さんに見送られて、その場を後にした。


タクシーに乗りながら、自然に昔のことをいろいろ思い返してた。


俺がつらい時、あんなに励ましてくれて…


いつも支えてもらって、大事にしてくれたのに…


俺は、恩をあだで返すようなことをしてしまった気がして…


とても…心が痛い…


「許してくれ…健さん…」


俺は、そっと、胸の奥でそう呟いた。
< 58 / 133 >

この作品をシェア

pagetop