【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書


 よかった。犯人、逮捕されたんだ……。

 今はこうやって容疑者の名前や性別、犯行の動機も全部晒される時代になってしまった。犯人の遺族はもちろん、被害者の遺族は深い悲しみを背負うのは間違いないのだ。……あたしもあの時からずっと同じ、被害者遺族だ。あの悲しみを今でも背負って生きている。

 だけどあの時の犯人は、留置所の中で死んでしまった。もうその悲しみを彼にぶつけることは出来ないのだ。悲しさだけでなく家族を奪われ途方にくれて生きていたのもまた事実。その事実を変えることなんて出来ない。

 悔しいと思うし、出来ることなら犯人に謝ってほしかった。だからこそあたしは、悲しみを背負った一人の被害者遺族として、平和を祈るだけだ。

 だけどこうしてどこかで事件や事故も起きていて。世の中がこんなにも変わっていくのはなぜなのだろうとつくづく思う。平和に生きていければ、みんな本当に幸せになれるのかもしれないと、思ったりもする。

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