【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書

side裕太



 「若葉さん!まだ動かない方がいい」

 「大丈夫です……」

 若葉さんは目を覚ましたばかりなのに、もうベッドから起き上がった。それすら大丈夫なのかとか、不安になってしまう。

 「……裕太さん」

 「なんだい?」

 「もう少し……顔をよく、見せてください」

 若葉さんは俺の頬に手を当てて、撫でるように見つめた。その表情は、いつも見ていたあの若葉さんの表情で……。忘れもしない。俺の大好きな若葉さんの姿だ。
 
 「裕太さん……。心配かけて、ごめんなさい」

 若葉さんは涙目になって、俺にそう言った。
 
 「……ううん。本当に、本当に無事でよかった。……生きててくれて、ありがとう」

 俺は若葉さんを優しく包み込むように抱きしめた。若葉さんは前から細いけど、事故に遭って眠っていたから、さらにやせ細っている気がした。

 頬も少しやつれて、そして色も白い。ますます心配になってしまう。

 「裕太さん……ありがとう」
 
< 244 / 257 >

この作品をシェア

pagetop