【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書


 「……藤田さん」

 「そりゃ、樹が亡くなって悲しいですし、とても心にぽっかりと穴が空いた感じもします。……だけど樹は、きっと刑事さんたちに感謝していると思います。……刑事さんが犯人を見つけてくれたから、これで樹もきっと、報われると思います」

 「……はい。そうだと、願います」

 「だから、本当にありがとうございました」

 藤田さんは、涙を流しながらも。……だけど笑っていた。

 「……帰り、気を付けてください。そしてちゃんと食べて、ちゃんと睡眠を取ってください」

 「はい。ありがとうございます。……では、失礼します」

 「はい」

 きっと今だって悲しくて、泣きたいだろう……。

 だけど藤田さんは、最後までにこやかに微笑んで帰って行った。

 警察官は、立派な仕事だ。だけど時には、苦しくなって、切なくなる時もある。

 だからこそ、この世の中から少しでも犯罪がなくなり、平和になることを祈っている。一人の警察官として。



 
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