イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛


「顔赤いよ」


涼しい顔でそう言われて、咄嗟に両手で顔を隠す。


可愛い、なんて言われ慣れてる言葉なのに。



なんでこんなに、恥ずかしいの。



「おいこら、顔見せろ」


会長が私の片手首を掴むので、私は首を横に振る。



「無理です…」


こんな顔、人に見せられない。


「無理は、無理」



今朝と同じようにそう言った会長に、ゆっくり手を降ろされると。



見えたのは、どこまでも綺麗で、意地悪な、笑み。



「かーわい」



からかうように言われて、心臓がとてつもない音をたてた。




なに、なに、心臓、なに。



混乱している私をよそに、


「好きなの食え」


ナイロン袋から色んな種類のパンやおにぎりを出して、会長は言う。



「とーるが誰かの食べ物買うなんて、はじめて見たね?」


流奈さんが嬉しそうに副会長に言った。



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