キミの名前を呼びたい。
当然図書室は誰も居なかった。
梓ちゃんの部活が終わるまでまだ30分以上ある。
この新しいホワイトボードを使って、如月くんに挨拶する予定だったのにな…。
本でも借りて読もうかなとも思ったけど、読み始めると周りが見えなくなるからそれは諦めた。
他に何かしようかな、と考えたけど何も浮かばなかった。
特にする事も無かったのでスマホでニュースを見ていた。
───ガラッ
不意に図書室のドアが開いた。
「え…っと、葉山さん…?」
入ってきたのは同じクラスの笹川大地(ささかわだいち)くんだった。
黒髪で黒縁メガネを掛けていて、委員長をやっている。
「葉山さんはよくここに来るの?」
突然だったためホワイトボードを出す余裕もなく、頷いた