キミの名前を呼びたい。



もう、声が出なくなってから10年以上経った。



筆談用のノートもたくさん増えている。



と言ってもほとんど会話するのは梓ちゃんだけだけどね。



最初のうちは私が書くのを待っていてくれるんだけど、



段々と"うん"か"ううん"の首振りだけの質問に変わり、



最終的には避けられてしまう。



書くのが遅いから、待たせてしまう私が悪いのだけれど。



私もみんなと同じようにお話したい。



筆談じゃなくて、自分の声で───
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