冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
彼に会うのも我慢して夢中になって体育祭の準備にも取り組めた。


それなのに、今日あんなことがあって急に尻込みしてしまってる。


千景くんの胸に飛び込みたいのに、足がすくんでしまう。


こうして彼がまた会いに来てくれて嬉しいのにあと一歩勇気がでないんだ。


私これまでどんな顔をして彼に話しかけていたっけ。それすら思い出せない。


「あーもう、いいから。花のそんな顔いつまでも見てるこっちが辛いんだって。
ほらみんなも手伝って」


「よっしゃ」


「花、行こう」


大原くんとちえりちゃんに腕を引っ張られ千景くんのそばに連れていかれた。


よろけるように千景くんの隣に立ったけど、胸が一杯でなにも言えない。


彼と目も合わせられなくて俯いてしまう。


ちえりちゃんは私と彼の腕を赤いリボンで繋いでくれた。


「はい出来た。さあこれで2人は元どおりだね」
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