冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
これってつまり計画的ってことだよね。


だったら、どう考えても千景くんからせまってきてるってことだよね。


そこで、何となくホッとして息をついていたらプチプチとブラウスのボタンをはずされる音がした。


ベッドに背中を押し付けられている体勢で彼が上から覆いかぶさっている。


彼は愛おしげに私の頬に手をおいた。


「千景くん……」


「花が欲しいんだ、ダメ?」


待て、を言いつけられた子犬みたいなすがるような目で見つめられた。


「花が嫌ならやめる。今ならまだやめてあげられる」


切なげなその声に胸の奥がしびれた。


「あ、えと」


ああ、こんな時どう返事したらいいんだろう。


いいよって即答したら軽すぎるかな?


初めてだから怖いけど、千景くんなら全部あげてもいいって思うよ。


「好きだよ、花」


「私も好き、千景くんとなら……いいよ」


「優しくする」


「うん」


お互いを真っすぐに見つめ合って、ちょっと笑った。


ついに私、千景くんとひとつに……。
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