それが君の口癖。
淡々と言葉を並べた。
2人の間にあるのは沈黙と、氷の溶けたお酒。
いつからこんな風になったんだっけ。
妖艶に目配せをする、君をただ見ている。
「愛してるよ」
声をかけた僕の方をチラリともみず、君は「私も」と言った。
取り残された言葉と、曖昧な時間。
限られた空間の中で僕たちは会っている。
「その声が好き」
「その目が好き」
「その優しさが好き」
「どうしようもない、あなたがすき」

君は僕のことをひたすらに話すけど、
僕は君の話をしない。しようがない。
理由は簡単で、君は僕に自分を出さないからだよ。

どうしたって君のその性格の、嫌な部分が堂々と顔を出す。
< 1 / 24 >

この作品をシェア

pagetop