いつか咲う恋になれ
近づいた距離
文化祭当日、外部からの来客も多く学校全体がお祭りムードに包まれていた。

「おーい紗倉ちゃん」

廊下を歩いていた私は名前を呼ばれて振り向く。そこには小谷先輩が手を振りながらいた。

「小谷先輩一人ですか?」

「うん。紗倉ちゃんも一人なんだ」

「はい、今休憩中です」

私のクラスでは甘味喫茶をやっている。交代で休憩に入っていて、私は今が休憩時間だ。

「じゃあ少しの間一緒に文化祭まわらない?」

笑顔で誘ってくる小谷先輩に私は『はい』と返事をして、休憩が終わるまで一緒にまわることにした。

どこのクラスから行こうか話をして、ひとまず森野先輩のクラスに行く。

「女子率高いな」

少し離れたところからでも分かる女子の多さ。しかもみんなテンション高めだ。森野先輩のクラス、何やってるんだろう。

小谷先輩と教室に入ると、ホスト風の男子生徒達が『ようこそ』と言いながら一斉にこっちを見てきた。

「二人とも来たんだ。ちょうど良かった。俺を指名してくれない?ゆっくりしたいんだ」

教室の入口で呆気にとられていると、ホスト風の髪型になっている森野先輩が声をかけてきた。

このクラスはホストカフェをやっているらしい。

言われた通り森野先輩を指名して椅子に座る。何か既に森野先輩は疲れ切った表情をしていた。
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