いつか咲う恋になれ
「病人はどこだ〜?」

生徒会室のドアが勢いよく開く。開いた先には、キョロキョロしながら病人(わたし)を探す有馬(ありま) 友希(ゆき)先生の姿があった。

英語教諭の有馬先生は、ショートボブがよく似合っていて体育会系のノリで親しみやすく、生徒にも人気がある。

先生は私を見つけると一目散にスタスタと駆け寄ってきて私の様子を伺う。

「どう?車まで歩ける?」

「はい。すみません先生」

私は立ち上がり、みんなに『お先に失礼します』と言って歩き始める。

「いいって。じゃあ……森野、車まで紗倉さんの荷物運んで」

有馬先生の後ろにいた森野先輩は言われた通り、私の鞄を持って一緒に生徒会室を出た。

「森野先輩、ありがとうございました」

「お大事にね」

森野先輩から鞄を受け取り、私は有馬先生の車の助手席に乗り込む。私がシートベルトを装着するのを確認して車を出発させた。

家の住所をナビに入れると、先生が『家に着くまで寝てていいよ』と言ってくれたので、取り敢えず目を瞑る。

あー、本格的にしんどくなってきた。身体中が熱いのに若干寒気がする。自分でも熱が上がってきているのが分かった。

家に着き、有馬先生にお礼を言って見送る。車が見えなくなるのを確認して家の中に入った。
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