いつか咲う恋になれ
一旦、自分の家に帰り着替えて家を出る。電車やバスよりは自転車で行った方が早そうだ。

途中店に寄って見舞い品を買い、そのまま穂花ちゃんの家まで爆走した。

ーーピンポーン

家に着きインターホンを鳴らす。でも何の応答もない。寝てるかな?もう一度鳴らして出てこなかったら帰ろう。

再度インターホンを鳴らす。すると勢いよく玄関のドアが開き、穂花ちゃんが出てきた……と思ったら突然俺に抱きついてきた。

「穂花……ちゃん?」

もしかして玄関でつまずいて目の前の俺にしがみついたとか?でもそれならパッと離れるか。

ギュッと抱きついている穂花ちゃんが何か可愛くて、頭にポンっと手を置いた。

「どうしたの?」

思わず笑みが溢れる。すると穂花ちゃんは小さな声でそっと言った。

「来てくれて……嬉しいです」

思いがけない言葉に俺は驚いた。そして気づく。穂花ちゃんの身体中から熱気がする。おでこに手を当てるとめっちゃ熱い。

なるほど、熱のせいで気弱になっているのか。穂花ちゃんが抱きついてきたわけが分かり、ひとまず穂花ちゃんをヒョイっと持ち上げる。

「まず制服を着替えなきゃ。部屋どこ?」

お姫様抱っこをされた穂花ちゃんはハッと我に帰ったのか、恥ずかしそうに部屋まで誘導する。

穂花ちゃんが着替えている間、キッチンを借りて買ってきたリンゴの皮を剥きすりおろす。これなら食欲なくても食べれるだろう。
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