いつか咲う恋になれ
「あの……真尋先輩はどの大学を受験するんですか?」

「俺は県外に出るよ。関西にあるK大が第一志望かな」

「関西……K大」

九州から遠いなぁ。じゃあ卒業したらもう会えなくなるんだ。

「難関校じゃないですか。受験頑張って下さいね」

私は無理やり笑顔を作った。

「受験頑張ったら、穂花ちゃんに何かご褒美貰おうかな」

「いいですよ。あっでも、前に看病してもらったお礼をまだしてないですね。何がいいですか?」

「気にしなくていいって言ったのに。じゃあ……」

真尋先輩は立ち上がり、私の隣に来た。そして顔を近づける。

「今から何すると思う?」

吐息が聞こえるくらい顔を近づけて、意地悪そうな言い方をしながら囁いた。

この距離、この雰囲気……この先何をするか何となく分かる。

「な、何って……キスとか?なんちゃって」

胸がドキドキしすぎて張り裂けそうだ。心臓の音が先輩に聞こえませんように…

「正解」

その言葉の直後、真尋先輩の唇が私の唇に重なった。

「お礼、ありがとう」

キスの後、真尋先輩はニッコリして私に言った。

でも、どちらかというと私がお礼したというよりされたような……

真尋先輩はいつも表情を変える事なく冷静に見えるけど、私相手に恋愛ごっこをしても、緊張したりドキドキしたりとか……やっぱりないんだろうな。
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