一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
「……バイトと君は言ったけど、働いていたのか」
「そうよ、どうして?」

 不思議なことを聞かれた。 
 アメリカの学生だって働くでしょ。

「お兄様も私も、高校からバイトしていたの」

 だから私もお兄様も、電車の運賃もシャープペンシルの値段だって知ってる。
 コンビニスイーツは、お給料日のぜいたく品。

「家族の誕生日にね、自分の働いたお金でプレゼントしたの。誇らしかったなぁ」

 今でもそう。

「玲奈は素敵だね」

 ネイトが私を抱きしめてくれた。 

「ありがとう。両親の教育の賜物よ」

 お母様が雇われる側の出だということも大きいのだろう。
 家付娘だったお祖母様や御曹司だったお父様は、婿養子のお祖父様や社長秘書だったお母様の言動に、いちいちカルチャーショックを受けていたらしいから。
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