一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 …… ネイトは、ヘルガさんや自分の名前を口にするときに、さりげなくセカンドネームを抜かしている。
 そういえば二人とも公式発表はファーストネームとファミリーネームだけ。
 私は最初から、彼の秘密に触れていた。
 胸のあたりが暖かくなる。
 
「僕の認識では、女性は皆ドレスが着たいものだが?」

 ふふん、という顔をしちゃって。確定か!

「そりゃ、着たいです」

 私は渋々認めた。
 子供の頃から、お祖母様に従姉のひかるちゃんとテーマパークに連れていってもらっては、お姫様コスプレをさせてもらった。
 今だって、結婚式に呼んでもらえば『なにを着ていこうかなー』てワクワクするし。
 
「でも、私の」
「お喋りはおしまいだ、ミス・多賀見。僕は自分の予定を崩されるのは好きではないし、スタイリストもジリジリしている」

「でしたら」
「サイズはわかっているが、君の肌の色に実際に合わせないと選べないし、微調整も必要だ」
 
 試着なんて、せいぜいニ・三着と思ってたわよ。
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