一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 映画俳優かモデルみたいな造形。
 エグゼクティブのオーラを前にして、無視できるほど私は人間が出来てない。
 でもシャクだわ!

「いけませんか? 脅されて無理矢理結婚する人の、少しでも良い点を見つけようとしただけですわ」

「The wife of the future seems to like me a lot
(未来の奥様は、相当僕がお気に召したようだね)

Your eyes looking at me are like looking at chocolate or ice cream
(僕を見る君の目つきは、大好きなチョコレートかアイスクリームを見るようだから)」

 いきなり英語!
 ネイトは人をバカにしたいときに外国語になるのかしら。

 ……とはいえ、彼の指摘はあたっている。
 はっきりいってネイトなんて、どんなデザートより魅惑的だわ!
 けれど、負けん気な私が首をもたげた。
 わざと日本語で返す。

「そうですわね。まあまあでした」
「へえ?」

 まずい、完全に怒らせたっ。

 しいいん、と音がしそう。
 絶対、室温マイナスになってる。
 私がびくついていると、ネイトが静かに冷たく言い放った。
 
「光栄だね。僕にとってはありきたりの一夜だったが」

 ずきん。
 ネイトに冷たくされて、心が傷んだ。
 
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