一夜限りの恋人は敵対企業のCEO⁈【後日談有】
 けれど。

「つ、疲れた……っ」

 お母様の洋服を買いに付き合わされたときより大変だった。
 ぐったりしている間にクローゼットに洋服とバッグに靴がしまいこまれた。
 ベッドにはランジェリー、テーブルには女子垂涎ーー勿論私もーーのアクセサリーが置かれている。
 スタッフはスカスカになったハンガーラックを押して出ていってしまった。

 お買い上げってことよね。
 私が。

 くい、と指であごを持ち上げられた。

「服は僕らにとって名刺だ。君がみすぼらしい格好をしているのは許さない。玲奈は僕の女だから」

 ……ネイト、日本語間違えてる。
 世界的な企業のCEOの秘書がって言いたいんでしょう?
 わかったわよ。
 いい男の隣にいるには、いい女でいろってことよね。
 何年払いになるかわからないけど、仕方ない。
 お財布はやせ細ってしまうけれど、数年分の先行投資と割り切るしかない。

 ネイトが私のために見立ててくれたんだし、大事に着よう。

「これらの請求書をください」

 ネイトが片眉をあげた。
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