【12/18番外編更新】あまやかしても、いいですか?【完】
掴まれている手を離して、微笑んでいる遼雅さんの両頬にやさしく添えてみる。私の行動におどろいたらしい遼雅さんと目が合って、どこまでも幸福がはじけた気がした。
「……ごめんなさい、私、遼雅さんが好きになってしまいました」
「はは、謝るんですか」
「好きになってくれない人と結婚したらいいって言ったのに、破ってだいすきになってます」
「だいすき?」
「……うん。どうしよう? 遼雅さん、たすけてください」
じっと見つめて相談してみたら、遼雅さんが私と同じようにくすくすと笑ってくれる。
答えをきかなくても、どう思ってくれているのか、こんなにも伝わってしまうから不思議だ。
橘遼雅は、完璧な旦那さんだと思う。
「あはは、いいですよ。助けます。その代わり……」
「あ、交換条件だ!」
いつも、遼雅さんは交渉が得意だから困っている。
絶対に遼雅さんの思い通りになってしまうだろう。遼雅さんにできないことがあるなら、ぜひ聞いてみたい気がしてしまった。
笑いあって、遼雅さんが茶目っ気たっぷりに囁いてくれる。
「ご名答。……その代わり、きみはもう、絶対この指から指輪を外さないこと」
「会社にバレたら、お隣で働けなくなっちゃいますよ?」