半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 ――そもそもレイド伯爵自体が、王都に関わるあらゆることを嫌っている節がある。

 自分の、一番愛する娘を傷付けたから、と。

 三年前、国王陛下との『契約』によって義務の緩和幅も広がった。いちいち細々とした報告をレイド伯爵はしなくてもいいわけで、一方宰相らも催促もできずそわそわしている。

 リリアが学院を嫌になって、知らぬうちに妖怪国に移住しました、という展開を心配しているのだ。

 彼らは、レイド伯爵から怨みを買った。

 妖怪国の領民からの報復を、一番に恐れている。

 レイド伯爵にとって大切なのは、リリアだった。彼女がいなくなったとしたら、領地の周りが騒がしくなろうが、躊躇しないだろうことが推測されていた。

「……熱が出て、大丈夫なのか訊いただけなのに」

 口にして、サイラスはもやっとした。

 彼女が弱った姿なんて、一度だって見たことはない。けれど普段は毅然として誰も頼らないという姿勢なのに、腕を広げただけで、甘んじて執事狐に飛んで行くし。
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