半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 それを聞いたツヴァイツァーが、ふぅっと鼻息をもらした。

「悪循環ですね。魔力酔いは、重度の症状や後遺症を引き起こす場合もある。しかし王族としては決まりを破るのも体裁が悪い、と――まぁ、先程の殿下の台詞を聞くに、都合も良かったから前々からリリアと婚約させたいという算段も見えましたが」
「うっ、それは、誠に申し訳ない」

 横目を向けられたハイゼンが、まるで責められているような威圧感を覚えて、焦って謝った。

「魔力酔いの件を、うちの娘でも試してみたかったのも理由でしょうか」
「はい。その、挨拶で握手をさせる予定でいたのです。馬車の中でも、そうしてみるよう言い聞かせてお願いしていたのですが、まさか、殿下があそこまで嫌がるとは……」

 ハイゼンは、ギスギスした視線に耐えかねて、全部白状した。俯いた途端、ぽんっと肩に手を置かれて飛び上がる。
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