半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
「でもまぁ、あの子は確かに魔力酔いなんて起こさないと思いますよ」

 そう口にしたツヴァイツァーは、見つめ返されにっこりとした。

「それでいて、残念ながら試すことはできないでしょう。ここまで相性が悪いというのも珍しい気がしませんか?」

 ねぇ、と畳みかけるように言った彼の目は、一切笑っていない。

 その背中に黒いオーラを見たハイゼンは、固唾を呑んでたじろいだ。誰が見ても、心底怒っていると察せる怒気が放たれていた。

 ツヴァイツァーも、さすがに娘を人外呼ばわりされて、内心冷静でなかった。自分が生きている間は人間界で暮らして欲しいと思っているのに、あの馬鹿王子は、リリアに『人間は嫌いだ』と言わせたのだ。

「宰相様、今回の件、少しお話してもよろしいでしょうかね?」
「ひぇ、は、はいっ、なんなりと!」

 胸倉を掴み寄せられたハイゼンが、両手を降伏のポーズで上げて反射的に答えた。笑顔を張り付かせているツヴァイツァーは、手元をギリギリ言わせて続ける。
< 72 / 301 >

この作品をシェア

pagetop