お隣さんは裏アリ王子
全然、忘れられてない。


やっぱり、目で追っちゃうの。


やっぱり、水瀬君のことばっかり考えちゃうの。


「うう……っ」


あの時は出てこなかった涙が、最近では毎日のように溢れてくる。


私の脳内で、まだ想い続けちゃえって語りかけてくる何かがいるの。


「真奈、明日、遊びに行かない?」


明日は、ちょうどバイトも休み。


「うん。いいよ」


紗里奈からの誘いにそう答えた。


そして次の日、起きて準備を終わらせると家の前には紗里奈がいた。


「おはよ。さあ、ショッピングよ」


笑った表情で言われて、私の心も明るくなる。


「うん」


私も、笑った。


「やっと笑ってくれた」


「え?」
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