お隣さんは裏アリ王子
電車に揺られながら、今日の夜ご飯を考える。


ハンバーグ、作ろうかな。


確か材料は、前に買ったはず。


そうと決まれば、私の頭の中は、それでいっぱい。


「ただいまー」


そう言って入ったのは、私の家の隣。


今も変わらない、圭の家。


「おかえり」


ソファに座ってる圭がそう言って笑う。


高校生の時よりも背が伸びて、大人っぽくなったけど優しい笑みだけは、変わらない。


あと、料理ができないとこも。


ご飯だけは、いつも炊いておいてくれるんだけどね。


高校生の頃も、ご飯だけはいつも炊いてあったな。


でも、初めて作った日は、炊いてなかった。


ふと懐かしい気分に浸りながら、ハンバーグを焼くと横から圭の顔が近づいてきた。


「うまそ」


「圭、危ないからどいてよ」
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