あなたがくれた翼

初めての告白

「桧山君、私は桧山君のことが好きじゃないの。他に好きな人がいるから」

初めて嘘をついた。偽りの自分。
京子の苦しみを考えるとやりきれなかった。
私と京子の関係は修復できないのかな。
桧山の言葉を聞くのが怖い。
冷たい視線を浴びると思うと、今にも泣きだしそうになる。
お願い、そのまま立ち去って。

「急な話だね。何かあった?例えば僕と三上さんの話を聞いてたとか?」

何も言えなかった。
ただ、私は桧山に私の嘘を見抜いて欲しかった。
何故、桧山は何もかもお見通しなのだろう。
気づいたら私は涙を流していた。
そして、ゆっくり頷いた。

「私は桧山君のことが好きなの。それと同じくらい京子も親友として好きなの。誰かが傷つかないといけないの。その役目は私で良いから。もう私は桧山君から、沢山の幸せを貰ったよ。だから、お願い!京子と付き合って。お願い……」

「僕は今まで軽薄なことをしていたよ。僕はただ、神崎さんに笑って欲しかったんだ。でも、二人の関係に水を差したのは僕だね。今、神崎さんを泣かせているのは僕のせいだ。ごめん」

私からの初めての告白が悲しみに包まれるとは思ってなかった。桧山から今までのことが『軽薄なこと』だと聞いてショックを受けた。
でも、これで良いんだ。思ってたより辛いな。

「帰るよ」

彼はうつろな目をして、立ち去った。
それから、桧山は学校に来なくなった。
私と京子との間も何も変わらなかった。

誰も幸せになってないじゃない!
こんなはずじゃなかったのに。
私はひどく公開をした。

嘆くな!私は必死に考えた。
どうすれば、桧山と京子との仲を取り戻せるのか。私にはまだできることがあるはず。
誰も傷つかない方法があるわけないじゃない……。
全ては膝のせいだ。膝を悪くしたせいで、私は桧山と出会った。
私が悪いんだ。いっそのこと私の足なんてなくなれ……

一つだけ私にできることがある。
どんなに望みは薄くてもやらなければならない。
桧山のためにも、京子のためにも、何より自分自身のために。

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