遠い記憶
浴室から戻ると、美紀は既に起きてコーヒーを淹れていた。

「あぁ〜ゆっくり寝た〜! 
でもね、夢のな中でも桜が泣いてて、抱っこしながらあやしてた〜
完全に、私の脳みそは孫に支配されてるよね!」

「夢でも桜が泣いたらさ、可愛いくて抱っこせずにはいられないよな〜!
俺さ…
優一の幼稚園くらいから子育ての記憶があんまりないんだよな!
仕事に必死でさ、
今思えば、お前にも優一にも悪い事したなぁ」

「だって、しょうがないよ!
そうしなきゃ皆んなの生活がかかってたからね!
あ、 私もシャワー浴びてくるね。
1Fのカフェで朝食たべて、そのままバスに乗るんだよね?」

「あぁ、 急げよ、化粧もあるだろう?」

「うん。わかった。」

俺はベランダに出て晴れ渡った空に真っ青な海の写真を撮り
"豪華な部屋で母さんも俺も大満足だ"
っとお礼のメールを海の写メといっしょに優一へ送った。

"楽しんで来て〜子供達にも、写メみせるわ!"
と、優一からすぐに返信がきた。

部屋に入り、美紀が淹れてくれたコーヒーを飲みながらソファーでガイドブックに目を通した。

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