【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「それでいいの?」
「あ、ああ……」
「ふーん。じゃあ交渉成立。だからさっさと返して」
会長は「おかしいな。俺の計算が狂っただと……?」とかぶつぶつ言ってる。
「なに、その顔?」
硬い表情が崩れて、困ったみたいに眉を下げて固まってる。
それがおかしくて、笑いそうだ。
「いや、すまない。君はもっと、文句を言うかと……ん?な、なにを笑っている!?」
「いや? この程度で可愛い人質を取り戻せんだから安いもんだなって」
「っ、これは粉々だぞ!? それでもそんなにこれが……っ」
「粉々だろうとなんだっていいよ。アイツが作ったもんをあんたに譲るわけないだろ?」
会長は驚いて目を見張った。
芽衣が精一杯作ったもんだ。
だから、譲れるわけがない。
「……そこまで甘党だったとは。す、すまなかった」
「……」
……もう何も言い返す気力もない。
だけど、俺だって黙って帰るつもりはない。
「金輪際、芽衣とふたりきりになれると思うなよ」
これだけは言わせてもらう。
会長は、今度こそ真剣に考える素振りを見せた。