【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます


「それでいいの?」


「あ、ああ……」


「ふーん。じゃあ交渉成立。だからさっさと返して」


会長は「おかしいな。俺の計算が狂っただと……?」とかぶつぶつ言ってる。


「なに、その顔?」


硬い表情が崩れて、困ったみたいに眉を下げて固まってる。

それがおかしくて、笑いそうだ。


「いや、すまない。君はもっと、文句を言うかと……ん?な、なにを笑っている!?」


「いや? この程度で可愛い人質を取り戻せんだから安いもんだなって」


「っ、これは粉々だぞ!? それでもそんなにこれが……っ」


「粉々だろうとなんだっていいよ。アイツが作ったもんをあんたに譲るわけないだろ?」


会長は驚いて目を見張った。

芽衣が精一杯作ったもんだ。

だから、譲れるわけがない。


「……そこまで甘党だったとは。す、すまなかった」


「……」


……もう何も言い返す気力もない。

だけど、俺だって黙って帰るつもりはない。


「金輪際、芽衣とふたりきりになれると思うなよ」


これだけは言わせてもらう。

会長は、今度こそ真剣に考える素振りを見せた。
< 374 / 391 >

この作品をシェア

pagetop