あなたの願い、残酷に叶えます。
それでもかまうもんかという気分になった。


あたしは悪いことなんてしていない。


悪いのは大智。


そして里奈だ。


「里奈と一緒にいたよね」


「どこにいた?」


大智がようやくあたしと視線を合わせていった。


しかしその目はあたしを非難していた。


あたしは浮気された方なのに、悪者として映っていることがわかった。


あぁ、終わった。


この瞬間あたしはそう感じていた。


大智との時間はこれで終わったのだ。


途端に悲しさがこみ上げてきて涙が出そうになった。


でも、それをグッと押し込める。


ここで泣くわけにはいかない。


「家に行ったの」


そう答えると大智は盛大な溜息を吐き出す。


「昨日は会えないって言っただろ」


「それが信用できなかったから」

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