あなたの願い、残酷に叶えます。
あたしは拳を握り締める。


大智のクラスメートたちが好奇の目を向けているのが、痛いほどわかった。


「……ごめん紗弓。そういうことなんだ」


は……?


あたしは驚いて大智を見つめた。


そういうことって、どういうこと?


思わず涙も引っ込んだ。


もっと言いわけしたり、弁解したりすると思っていた。


「別れてほしい」


サラリと、大智は言った。


あたしにとって人生が変化してしまうほど大きなことを、サラリと……。


それが、あたしの1年生のころ起きた出来事だった。


そして、今……。
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