あなたの願い、残酷に叶えます。
☆☆☆

「アレは成功してたんだ! それなのにイケニエを出さなかったから復讐しに来たんだよ!」


過去の出来事を思い出していたあたしは景子の声でハッと我に返った。


目の前にはタブレットが置かれていて、自分も含めて5人の様子が映し出されている。


「それなら今からでもイケニエを出せばいい」


あたしは静かな口調で言った。


その瞬間、真美が息を飲むのがわかった。


ちゃんと、自分がそのイケニエのためにおとつい呼ばれたのだと自覚しているらしい。


見る見る内に真美の顔が青くなっていくのは、画面のせいじゃなさそうだ。


「俺もそれに賛成だ」


言ったのは航大だった。


「そんな……」


真美の顔がくしゃりと歪む。


今にも涙がこぼれ落ちそうだ。


「頼むよ真美」


そう言うのは翔だ。


充男がいなくなった今、真美を守る人間はここにはいない。


真美が死ぬことで自分が助かるなら、みんな真美を差し出すのだ。
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