覚醒者3号-最終調査報告-
しばらく歩くと。

「……」

ななみが立ち止まった。

「どうした?」

「…この印…何だろう」

地図を見ながら、ななみが呟く。

俺も地図に目をやる。

…地図上、ちょうど俺達の歩いている辺りに、×印がつけられている。

何かの目印だろうか。

「……」

俺は辺りを見回すが、特に変わった様子はない。

「何かしらね…」

黛さんが首を捻った。

…俺は考える。

あれほどその存在の秘匿に力を注ぐ機関だ。

見回した程度でわかるような事はしていない筈だ。

ならば。

俺は下水トンネルの壁という壁を触れてみる。

ほんの些細な事でもいい。

何か違和感を見つけ出す事ができれば…。

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