覚醒者3号-最終調査報告-
やがて。

「…!」

俺は滑らかな壁の一部に、違和感を見つけた。

この一部分だけに、段差というか、引っかかるような感触がある。

最初は補修した跡かとも考えたが、あまりにも巧妙にその引っ掛かりを消してある痕跡があった。

こんな人目に触れない場所で、そこまでの労力を費やして消す理由…。

どうあっても見つかってはいけないから。

それ以外に考えられない。

「二人とも、下がっていろ」

ななみと黛さんを下がらせた俺は、右手に炎を灯らせた。

チマチマやるのは性に合わない。

一気に小細工を吹き飛ばしてやる!

俺はその壁に拳を叩き込んだ!

コンクリートの壁が砕ける音。

だがその壁はあまりにも脆い。

いかに発火能力を付加させているとはいえ、人間の打撃程度で崩れるのは不自然だった。

そして、その不自然さ通り。

「…成程な」

その壁の向こうには、隠し通路が存在していた…。


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