覚醒者3号-最終調査報告-
「どうした?ななみ」

小山田君がななみちゃんを見る。

「……」

ななみちゃんは目をそらし、フルフルと首を横に振る。

「…そうか」

小山田君は歩いていく。

…少しションボリしたような、ななみちゃん。

私は微笑ましく思いながら、彼女の頭を撫でる。

「ちゃんと意思表示くらいしないと、小山田君は興味を持ってくれないわよ?」

「!」

表情こそ変わらないものの、ななみちゃんはびっくりしたように私の顔を見た。

「そんな…つもりじゃ…ない」

「隠さなくたっていいじゃない。女の子同士でしょ?」

私はクスッと笑った。

…機関廃棄場で私達の仲間となった、覚醒者4号…ななみちゃん。

その生い立ちから、あまり他の人間との交流がなかった彼女だけど、私達と行動を共にするようになって、少しずつ思春期の少女らしい感情を取り戻しつつある。

小山田君に対する反応もそのひとつだ。

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