もふもふになっちゃった私ののんびり生活
 人の姿でずっと裸でいるのもなので、四つ足の獣の姿に戻り、隣の部屋の探検に行くことにした。
 なんといっても歩く訓練からしないと、この幼児姿ではすぐ転んでしまう。元々人だったのに二足になっても歩行訓練がいることにちょっと笑ってしまった。

 居間には奥へと続く扉があり、その扉にもきちんと設置されている小さな扉をくぐるとそこは廊下だった。
 キョロキョロ見回すと、突き当りには二階への階段があり、右側には扉が三つ、左側の居間の並びには扉が一つあった。

 三つの扉の内の一つはトイレだろうと思われる個室で、その隣の部屋はお風呂だった。

「キャウッ、キャンキャンッ!!」

 思わずうれしくなって部屋を駆け回ってしまった。
 手前に脱衣所用の棚があり、奥には手足を伸ばして入れるような浴槽がしつらえてあった。
 竈もないし、水を汲んで来るには奥まっているから、見えないが恐らくお湯を沸かす設備もあるのだろう。

 お風呂場には大きなたらいも置いてあったので、幼児でもお湯を汲めば入れそうだが、人化してもまだ無理そうなのが残念だ。
 最後の扉は階段下を使った物置になっていて、棚には寝具やシーツなどが置かれていた。

 今度は居間の隣の扉をくぐってみると、中は広さが十畳くらいの部屋に、ベッドや机、それに箪笥や本棚など一通りの家具が置かれていた。

 おお、部屋だ!一階にあって良かった!まだ届かないけど!

 ひとしきり見て回ってから箪笥の前へ行き、そこで人化する。今度は立ち上がらず座ったまま引き出しに手を伸ばし、何とか引き開けてみると。中には思った通り、幼児用の下着や服が収納されていた。
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