【完】イミテーション・シンデレラ
「もう、そんなに怒らないの。 今日は岬の卒業祝いで集まってるんだから」
目の前に座っているのは、大滝 昴という男だ。 年齢は私より少し年上の25歳。
大手芸能事務所グリュッグエンターテイメントの看板俳優のひとり。
若手俳優の中では人気は頭ひとつ抜きんでている。 数多くのヒットした映画やドラマの主演を努め、10代、20代の女性の中では、抱かれたい男ナンバー1らしい。 そういえば最近は顔面国宝にも選ばれていた。
高身長で、甘いマスク。 国宝級と言われるだけの事はあって、美しい顔立ちをしているのは間違いない。
でもこいつの、大きな目が好きじゃない。整形もしてないくせに日本人離れした平行二重の線も嫌! 下手すれば女の子より綺麗な肌も嫌い。
鼻先も口元も何ひとつ欠点がない所がいやらしい。 完璧に整った容姿を持っていて、更に万人受けするような誰にでも優しい所は1番嫌い。
「昴に卒業祝いして欲しいなんて一言も言ってない…!」
「そーんな事言わないの。怒ってばっかりいたらせっかくの可愛い顔が台無しだよ?」
よくも思ってもいない事を口にできるものだ。 ぐいっとビールジョッキを掲げ一気に飲み込むと、酔いが回ってきて頭がクラクラする。