【完】イミテーション・シンデレラ
顔色ひとつ変えずけろりとしている昴は、異常にお酒が強い。 ごくごくと音を立てて美味しそうにビールを呑み込む。その喉ぼとけ、ちょっとだけセクシー。 思わず見とれていると、ん?と大きな目を瞬かせてこちらを見やる。
「何よッ!別にアンタの顔になんか見とれてないわよッ。勘違いしないで…!」
「俺、何にも言ってないんだけど。」
少しだけ困った様に眉尻を下げて笑って、首を傾げる。
本当にこいつが苦手だ。 大体誰にでも優しい男は好きではないんだ。
じゃあ何故こいつと一緒に居酒屋に居て、卒業祝いまでしてもらっているかって?
単純な話である。 昴は今も親交が深い私の元彼と同じ事務所で、昔は事務所の管理する寮で一緒に暮らしていたのである。
そして現在、私の元彼である俳優の姫岡 真央には婚約発表までした一般人の彼女が居る。 その彼女は最初は大嫌いだったけれど、今では私の仲良しの友達になった。
元彼の今カノと友達とか絶対に無理だと思っていた。 けれど真央の今カノの棚橋 静綺はとても変わっている女なのだ。 一言で言えば、性格が良い。
芸能人なみに美人でスタイルが良いのに自信がなくって、自分を余り分かっていない女だ。 けれどとびっきり性格は良い。