【完】イミテーション・シンデレラ

青白いライトに照らされるランウェイの下、西園寺愛歌は真央の腕を取り歩く。 けれど、リハーサルは途中でストップしてしまい、舞台上何やらふたりは怖い顔をして言い合いをしている。

…ポスターの中でも、舞台の上でもお似合いに見えるけど

絶対に性格は合わないんだろうなあ…。真央は、気の強い女の子は好きだろうけれど、高飛車な子は嫌いだった。 そう考えたら、一般人の静綺は彼にお似合いなのかもしれない。

「くっそムカつくんだが?!」

自分のリハが終わって早々真央は私の方へやって来て、グチグチと文句を言っていた。

「何か喧嘩してたみたいだね。」

「あのクソ西園寺愛歌がな、文句ばっかり言うんだ!
歩くのが速い、とか。見せ方が云々って、誰に口聞いてやがるっつーんだ。
いけ好かねぇ女だッ。 あの女は悪魔だ!どうしてこの俺が、あいつと一緒に笑って歩かなきゃいけねぇんだよッ!」

そうとうストレスは溜まってるようだ。

ストレートのシンプルなドレスを着ていた西園寺愛歌が少し離れた場所で、スタッフと何かを話している。

こちらを指さしながら、何やら顔色を曇らせている。 その視線に真央が気が付くと、美しい顔をツンと背けた。 彼女の態度に真央は怒りが沸騰寸前である。

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