【完】イミテーション・シンデレラ
そっとベッドから立ち上がると、頭に激痛が走った。
「たッ……」
完璧に二日酔いだ。だって昨日の事すら覚えちゃいない。 だけど今はそんな事を考えている暇はない。
床に転がった下着を集めて、素早く身に着ける。
わ、ワンピースは?!私の昨日着ていたワンピースはどこ?! 光が遮断されているせいか、よく見えない。
カーテンを一気に引きたいけれど、そんな事をしたら完璧に昴が眼を覚ましてしまうかもしれない。
合わせる顔なんて、ない。
手探りで床に散らばる衣類を漁っていると、後ろからサッとカーテンがひかれた。 途端に眩い日差しが部屋へと射し込む。
反射的に床にしゃがみこみ、身を隠す。
「ふ~わ…、今日は良い天気だねぇ~…。
あ~…ねっみぃ~…」
いつの間にかベッドから起き上がった昴は、下着一枚で窓に向かい両手を伸ばして大きく欠伸をした。
「ちょっと…!カーテンを開けないでよ?!
どこに芸能記者が潜んでいるか分かんないわよ?!」
「だいじょーぶ。ここ32階だから。」